豆幽々子「ギューム…(どうしよう…こんな所で立ち往生しているわけには…)」 椛「…何だろうあの見たことない生き物は…?」 豆幽々子「ギューギュー!!(あーっ!ちょっとそこの人!)」 椛「うわ…なんかめっちゃ見てる…見られてる…しかもこっち来るよ…」 豆幽々子「ムーギュー!(ちょっと聞きたいことがあるんだけど…私の言葉分かる?)」 椛「…ぎゅーぎゅー?むぎゅー?うーん…見れば見るほどかわった生き物だなあ」 豆幽々子「ムギュ…(やっぱり駄目か…んっ!?)」 椛「新種の妖怪かなあ?だとしたらあの人に新聞のネタにされちゃうぞー。さあ、森へお帰り」 豆幽々子「ギュッギュッ!(このかばんは!もしかしてあの子の知り合いなのかも…!?)」 椛「ん?このカッパ印のマイエコバッグが気になるの?」 豆幽々子「ムームギュ…(確かめる方法もなければ他に手もない…ならば一か八か…)」 椛「あっ、ちょっと!勝手に入っちゃめーっ!だよ!」 豆幽々子「ムムムギュ!(さあ!私をかっぱの里へ案内しなさい!)」 椛「まいったなあ…あ、でも待てよ?もしかしてこの子にとりんの知り合い?このマークに反応してたし…」 豆幽々子「ギュ〜ウ(ふふ、物分りのいい良いこちゃんね。気に入ったわ)」 椛「…ってな訳で勝手について来ちゃったんだ」 にとり「なるほどねえ。言われてみれば確かにどこかで見たような気がする…気がしてきたよ」 豆幽々子「ギュッ!ギュッ!(ああもう、何で分からないかしらねえ!?)」 豆幽々子「ムムーギュ…(ようし…それじゃこれならどうかしら!?)」 にとり「およ?あっち向いたほい?」 椛「何か始める気かな?かな?」 豆幽々子「ギュッギュッギュッ!(わ・た・し・は・ゆ・ゆ・こ!)」 にとり「????」 椛「なんだろう?くねくねしてるね…」 豆幽々子「ムムムギュギュ!(し・り・も・じ・で・お・は・な・し・し・ま・し・よ・う、っと!)」 にとり「え、えーっと…何だろう、この奇怪な行動は…?」 椛「ダンス…かな?」 豆幽々子「ギュウ!(良し!これで完璧ね!)」 しーん… 豆幽々子「ギュギュウ?(あら?あまりのセクシーさに声も出ないのかしら?)」 にとり「で、遊び方は分かるの?」 椛「うん、ずっと見てたから大体はね」 にとり「おーし、それじゃやろうっ、やろうっ♪」 豆幽々子「ピギューギューッ!(ちょっと!なんで関係ないことしてるのよ!シカト?シカトですか!?)」 にとり「お、おうおぅ…よしてくれよう」 椛「ほら、怒ってる…やっぱりちゃんと聞いてあげようよ」 にとり「とは言ってもねえ…言葉が分からないんじゃ…あっ、そうか…」 豆幽々子「ピキュ?(何かグッドアイデア?)」 にとり「たしかこの辺にしまったはずなんだけどなあ…」 椛「なになに、探し物?」 にとり「ふっふっふ…まあ見てのお楽しみといったところかな」 椛「なにかななにかな?」 にとり「おっ、あった!これこれ!」 椛「……こ、これは…何?」 にとり「外の世界から流れてきた機械を改造したものだよ!」 椛「いや、そうじゃなくてね」 にとり「ああ、ごめん。これは翻訳機なんだよ!」 椛「いやいや、だから私が聞きたいのはそこじゃなくてねえ…」 にとり「え?え?」 椛「にとりんがそんな目で私を見てたなんて…」 にとり「ごめんねえ。最初、天狗とは言葉が違うんじゃないかと思い込んでたからさあ」 椛「だからそうじゃなくてね…はぁ…もういいよ…」 椛「それで、どうするのソレ?」 にとり「こうするのさ」 椛「わわわ、壊しちゃうの?」 にとり「違ーうよ。再改造だよ」 椛「そんな事出来るの?」 にとり「おっと、私を誰だと思っているのかね?」 椛「はっ、申し訳ありませんでした、先生!」 にとり「うむ、宜しい!ふむふむ、ほうほう…」 椛「じーっ…」 にとり「やっぱりこれならなんとかなりそうだな」 椛「本当!?ねえねえ、私も何か手伝いたい!」 にとり「うーん…そうだねえ。よし、それじゃあ、ほいっ!」 椛「はうっ!」 椛「はあに、こへ?はひ?(何、これ?鍵?)」 にとり「その鍵で、奥の部屋の戸棚からその子の声を記録する道具を取ってきてちょ」 豆幽々子「ピキキュウ?(録音するの)」 椛「おっけ〜ここは椛にまかせて!」 椛「で、それはどんな形してるの?」 にとり「えーっとね、溝が沢山ついてる円盤状のものだよ」 椛「溝がいっぱいの円盤…わかった!」 にとり「頼んだよー」 椛「えーっと棚、棚…この棚かな?」 カチャカチャ…カチッ! 椛「開いた!ってことはココに間違いないね」 豆幽々子「ピキキー!(さて、探すわよー!)」 椛「円盤、円盤〜♪出っておいで〜♪」 豆幽々子「ギュッギュー(一杯あるわね…どれでもいいのかしら?)」 椛「あったー!!あったよにとりんー!!」 豆幽々子「ギュウ?(あれは…どう見ても違うわね。全く、使えない娘ね…)」 にとり「およ?早かったねえ」 椛「取ってきたよ!取ってきたよ!」 にとり「一回言えば分かるって。こっちももうすぐ終わるからチョットまってね」 椛「早くっ!早くっ!!」 にとり「もう、椛はせっかちなんだから」 豆幽々子「ギュ〜ウッ、ギュ〜ウッ!(全く、何で、私が、運ばなくちゃ、いけないのよっ!)」 にとり「ふひぃ〜、こっちはこんなものかな」 豆幽々子「ギュ!(ほら、持ってきたわよ!)」 にとり「おまえさんも手伝ってくれるの?助かるねえ」 にとり「それじゃこいつをココへセットして…はい、これに向かっていろいろ喋って」 豆幽々子「ギュ?ムギューギュピー♪(それじゃお言葉に甘えて一曲、あーあーあああああーあ♪)」 にとり「随分とノリの良いヤツだねえ…別に歌でもいいけどさ」 椛「終わった?終わった?」 にとり「…椛はさっきから何してんのさ?」 椛「見て!取ってきたよ!偉いでしょ!ささ、早く投げてよ!」 にとり「う…ん。まだチョットかかるから、またあとでね…」 椛「えーっ、折角取ってきたのに!」 にとり「いや、ね。そもそもそれじゃないから…」 椛「えっ?これじゃないの??」 にとり「そう、ソレジャナイ」 にとり「まあ、終ったらそれで遊んであげるからちょっと大人しくしててね」 椛「わーい!…って!!」 にとり「んー?どったの?」 椛「な、何でもない!(にとりが帽子を脱いでた!?)」 にとり「???」 椛「くぅ〜っ…完全に気を逸らされてて見逃した…ねえ、君は見てなかった?」 豆幽々子「ギューギューギュギュギュギュー♪(うーうーううううう〜う♪)」 にとり「あとはコレとこれを繋いで、っと。はいはーい、もうそれ位でいいよん」 豆幽々子「ピギュッ、ピギュッ…(ふう、ふう…つい熱唱してしまったわ)」 にとり「最後にコイツをセットして…良っし!」 にとり「はいっ!完成でーすッ!」 豆幽々子「ピギュ!(お、大きい…)」 にとり「これぞ、何だか良く分からない未知の生物とも簡単に意思疎通が出来ちゃう夢のマッスィーン!」 にとり「名付けてアガレス君30号!(キリッ!)」 豆幽々子「ピギュウッ!(おおっ!)」 椛「わあ、言葉の意味はよくわからないけどとにかく凄い自信だ」 にとり「説明しよう!この機械は入力された音声を元に私達の言葉に変換してくれる程度の能力なんだよ!」 豆幽々子「ギュー!ギューッ!!(私いっちば〜ん!)」 椛「すごいな!すごいな!どうやって使うんだろう?」 にとり「いやあ、本当は双方向で翻訳出来るようにしたかったんだけど、どうもこっちの言葉は分かってるみた…」 にとり「…あー、もしもし?君達」 椛「わあ、新品だよ!ぴかぴかだよ!言葉が分かるようになるよ、やったねぎゅーちゃん!」 豆幽々子「ギュー!(でかしたわ!)」 にとり「説明を聞かん娘達だなあ、まったく…」 椛「ねえねえにとりん!これどうやって使うの!?」 にとり「だから説明を聞きなさいと…それじゃそこの扉から中に入って」 豆幽々子「ギュー(はーい)」 椛「はーい」 にとり「椛はいいの!」 椛「えー」 にとり「それでは正面の画面を御覧下さい」 豆幽々子「ピピギュ!(わっ!びっくりした!)」 にとり「この画面を見ながら遠くの人ともお話できるんだよ!」 豆幽々子「ギュギュウイ!(すごい!)」 豆幽々子「ピキキ〜(それにしてもすごくリアルな映像ね…まるで本当にそこに居るみたい…)」 にとり「なお本製品は予算と開発期間不足のため近くの人としかお話できません、あしからず」 豆幽々子「ギューッ!?(ちょっ…!?ただのガラス窓じゃないの…)」 にとりそれじゃそこにあるマイクで何か喋ってみて」 豆幽々子「ギュウギュウ…アーアー(これね…あーあー)」 にとり「おおっ!」 椛「すごい!もっと何か喋ってみて!」 豆幽々子「アーアー、本日天気晴朗ナレドモ波タカシ」 にとり「やったね!実験は成功だ!」 にとり「それではまず自己紹介からどうぞー」 豆幽々子「私は冥界探偵西行寺幽々子、あなたの力を貸して頂戴!」 にとり「はあ、また唐突な…んで、何で私が見ず知らずの人を手伝わないといけないの?」 豆幽々子「あら、最近会ったばかりじゃないの」 にとり「う〜ん。確かに引っ掛かってるんだけど…今ひとつ思い出せないんだよなあ」 豆幽々子「ソレジャコレデドウカシラ?さっさと思い出すんだよう!」 にとり「おー、それってもしかしてあの小っこい鬼っ子の物まね?」 豆幽々子「百点満点!」 にとり「でも一緒にいたっ…あっ!そうだどこかで見たと思ったら、籠に玉と一緒に入ってた赤ちゃんだ!!」 豆幽々子「ふふ…ようやく思い出して頂けたようね」 にとり「思い出すも何も、全然変わっちゃてるじゃないか」 豆幽々子「まあ、いろいろあってね」 椛「すごいなあ、すごいなあ。ひんやりしてるよ!」 豆幽々子「何でもいいけど、この娘何とかならない?気が散るわ」 にとり「でもさあ、力を貸すって?何するの?」 豆幽々子「私の代わりにあるものを見つけて欲しいのよ」 にとり「えー、そんなの自分でやりなよ…それに私達は今からコレで遊ぶつもりだったし…」 豆幽々子「あら、タダでと言う訳じゃないんだけどなあ」 にとり「私はお金では動きませんよ」 豆幽々子「ふふ…忘れたの?あの話を…」 にとり「話?何だっけ?」 豆幽々子「私とした話じゃないわよ。それに、私が見つけてもらいたいモノが貴方への報酬なのよ」 にとり「えーっと…あーっ!それってもしかして!?」 豆幽々子「思い出したわね」 にとり「やっぱり!?そうなんだ!」 椛「ねえねえ?私にも分かるように教えて!」 にとり「それじゃ、事件とやらは解決したの?」 豆幽々子「表向きは、ね。」 にとり「えー、それじゃまだ集まってないの?」 豆幽々子「そう、“まだ”集まってないの。だから貴方に抑えて欲しいのよ」 にとり「という事は、在り処は分かってるんだね」 椛「わーん、私だけ蚊帳の外だよ。いじいじ…」 皆は話に夢中で怪しい箱に気がつかない! にとり「でもさあ、そこまで分かってるなら何で自分で取りにいかないのさ?」 豆幽々子「在り処の目星はついている、けど私には見つけられないのよ」 にとり「場所は分かってるけど見つけられない?………でも私なら見つけられる…あっ、そう言えば!」 豆幽々子「そういう事。そして犯人が選んだ一番安全な場所は…」 |