黒萃香「とにかく向こうへ行きましょうぜ!」 妹紅「お、おう!そうだな…崩れてこない程度に穴を広げて…よいしょっ、と」 咲夜「それじゃ私も……あ」 妹紅「いやーそれにしてもでっかい洞窟だなあー」 咲夜「…あー、あー、ちょっといい?」 妹紅「おお?どうした?早くこっちに来いよ」 咲夜「それがね、そうしたいのは山々なんだけどね、その…」 妹紅「何だ?歯切れの悪いやつだな…」 咲夜「だからね、その、歯切れの悪くなるような事態に陥ったと言うか…」 妹紅「…まさか…お前…」 咲夜「まあ、そういう事よ…」 妹紅「お前はホントに…で、どうする?引っ張ればいいのか?」 咲夜「そうね…引っかかってるのはお尻だから、頑張れば何とか…」 妹紅「全くもう…さっきも…もーもー!むぐっ!!」 咲夜「…???何よ?」 妹紅「い、いや…何でもない!(危ない…うっかり口を滑らせるところだった)」 フラン「さくや!ちょっとストップ!動いちゃ駄目よ」 咲夜「え?あ、はい」 フラン「そのままじっとしてるのよ!」 咲夜「(妹様はそう言うと、突然私のスカートを下ろし始めたのです…)あッ…フ、フランドール様!?」 フラン「だいじょーぶだいじょーぶ!私にまかせなさいって!」 咲夜「い、いえ…だからその、何をなさるおつもりで…?」 妹紅「よーし、こっちは準備おっけーねだぞ」 咲夜「あっ、あっ、ちょっと待って!」 妹紅「おう?通れたのか?」 咲夜「違うのよ…向こうで妹様が何か始めたのよ…」 妹紅「何か、って…随分アバウトなヤツだな」 咲夜「…あ、あの?まだでしょうか?」 フラン「うむむむ〜。見れば見るほど変わった子ねぇ」 咲夜「ふえぇ?わ、私の体にどこかおかしな所でも御座いましたでしょうか?」 フラン「あら?私が言ってるのは、さっきさくやのスカートに潜り込んだ変な蟲の事よ?」 咲夜「蟲!そう言われると何だかこそばゆい様な…」 フラン「私と一緒に遊びましょ!あなたのお名前なんてーの?」 咲夜「えっと、おそらくそれはオケラか何かの仲間じゃないでしょうか?」 フラン「ほらほら、何時までもさくやのお尻なんかにくっ付いてないで、こっちへおいで…アッー!」 咲夜「はふうぅぅぅっ!」 オケラは身の危険を察知してパンツの中に潜り込んでしまいました… 咲夜「Noooooooooooo!!!」 妹紅「うわ、変な声出すなよな…」 咲夜「イ゙ェアアアアアアアアアアア!!」 妹紅「ちょっ、本当に何してるんだお前等…」 フラン「たいへんよ!さくやのお尻がかじられちゃうわ!」 咲夜「いやああああああああ!取ってえ!取ってえ!!」 フラン「このっ!…あれ?あれ?…なんてすばしっこい子なの!全然捕まえられないわ!」 咲夜「そんなに動き回ったら…あっ…あああああ!き、気持ち悪い〜!」 フラン「さくや!?…おのれオケラめ、さくやをいじめるなー!」 ベチーン!! フランドールはパンツの上からぶっ叩いた! …が、オケラだけが素早く身をかわした。 フラン「アッ!待てー逃げるなー!」 妹紅「逃げるって…?自分で吹き飛ばしておいて何言ってるんだ…」 フラン「え?え?私が?オケラを?」 妹紅「…どうも話が噛み合ってない気がするな」 フラン「あれれ?さくやは??」 妹紅「だから飛んでるって言ったじゃないか…ほら、アレ」 咲夜「あーれー!」 フランの打ち出す力は凄まじく、咲夜の吹っ飛ぶ勢いは衰える事を知りません。 咲夜「誰か時間を止めてー!」 ビューーーーーーン!! 咲夜「ハッ!は、柱!…アレに掴まっ…」 ゴン!ガン!ドガ! 咲夜「無理!」 黒萃香「ないっしょー!こりゃあまた随分見事に飛んだねえ!」 黄萃香「等速直線運動!」 黒萃香「ビックリ熱血新記録が出るんじゃねえかよう?」 妹紅「感心してる場合か!ほらお前たちもこれ持って!」 黒萃香「何でえ、このロープはよう?」 妹紅「今さっきアイツを引っ張り出すのに括り付けておいたんだ」 妹紅「ほら、あんたもそっち持って!」 フラン「ねえ?これどうするの?」 黒萃香「どうもこうも、こう思いっ切り引っ張るに決まってらあ!」 妹紅「いいかみんな、せーので引っ張るんだ!よろしく頼むぞ!」 黒萃香「あいよっ!」 フラン「よろしく頼まれたわっ!ほい!」 妹紅「わっ!まだ合図を…」 ピチューン! どこかでなにかがこわれるおとがした 咲夜「全く!色々危なかったわ…そう、色々な意味で…」 妹紅「ま、まあ良いじゃないか。無事だったんだし…」 フラン「痛いわ、さくや…」 黒萃香「まったく気が短けえおなごだねえ…」 咲夜「うるさい!!」 咲夜「他にこう、何か手は無かったの?急に引っ張られたから凄く締まったんだから…」 黒萃香「まあまあ、おかげで少し腰が引き締まったんじゃないかよう?」 咲夜「え!?…あら?そう言われてみればそんな気が…」 妹紅「はは…(絶対気のせいだ…)」 咲夜「まあいいわ、それじゃ先に進むわよ」 妹紅「おう…で、どっちに行くんだ?」 咲夜「あっちに飛ばされた時、他よりも大きな横穴を見かけたわ」 黒萃香「こりゃあもう、そいつで決まりだねえ!」 妹紅「あっち、って事はこの河を渡るのか…」 咲夜「そうよ、まあそんなに深くもないし流れも穏やかだしね」 妹紅「それじゃさっきのロープを向こう岸に引っ掛けて、っと。良し!」 じゃぶじゃぶ、がっぽがっぽ フラン「ざぐや−おいでがないでー!!!」 咲夜「妹様?…ああ、そうか」 妹紅「なんだい、アイツは?何で付いて来ないんだ?」 黄萃香「妖怪流水渡河不可也」 妹紅「ほう、なるほどねえ」 フラン「ざぐやあーわだじもつれでっでよー!」 妹紅「おい、どうするんだ?戻って迂回ルートでも探すか?」 咲夜「丁度いい…じゃなくて、仕方がないから置いて行きましょう」 フラン「さ〜く〜やああああぁぁ〜」 咲夜「妹様〜済みませんが、しばらくその辺で遊んでいて下さいね〜」 フラン「えーーーーーーーーーーーーーー!!!」 妹紅いいのか?一人にしておいて…」 咲夜「大丈夫。妹様なら百鬼夜行に轢かれても相手の方が砕けるわ」 妹紅「う…だから心配なんだが…」 フラン「さくやー!あとでおぼえておきなさいよー!!」 フラン「せっかく色々見て回りたかったのに!さくやのいけずめ!」 フランの頭は今にもフットーしそうだ。 フラン「なんとかして後を付けていけないものかしら…」 フラン「うーん、周りを見渡しても石、石、石…」 そのときフランに圧倒的閃きっ……!あらゆるものを破壊する程度の悪魔的奇手ッ!! フラン「…いいこと思いついちゃったもんねー!」 そんなフランをよそに、一行はずんずんと横穴を進んで行きます。 黒萃香「アネさん!分かれ道ですぜ!!」 妹紅「あれは…立て看板…こんなところに一体誰が?」 咲夜「なになに、地上迄アト500m…なんだかとっても胡散臭いわね」 妹紅「えっとこちらは、地下宝物庫迄アト300m…これまた胡散臭いよな」 咲夜「どちらも怪しいわね…」 妹紅「なあ、そちらの方、空気の流れを感じないか? 咲夜「…本当、看板の向きとも一致するわね」 妹紅「良し、決まりだな」 黒萃香「なあ、黄ぃの字よう!宝物庫ってことはお宝がざっくざっくだよう!」 黄萃香「大判小判!金銀財宝!!」 黒萃香「せっかくだから持ち主が現れるまで半年ほど預かっておくってのはどうでえ?」 黄萃香「名案!悪代官的也!」 黒萃香「よーし!テンション上がって来たあ!!」 妹紅「お、おいおいお前たち、そっちじゃないぞ!」 黒萃香「いやいやアネさん、その看板は罠かもしれませんぜ?」 妹紅「それは…まあ、そうかもしれんが…」 黒萃香「コイツが正しいなら宝が手に入る、嘘ならコッチが出口かもしれねえよう!」 黄萃香「一挙両得一石二鳥!」 妹紅「むう…そう言われれば確かにそうだな…」 黒萃香「ほれほれ〜。早く来ないとアッシ達が全部頂いて…」 カチッ! 妹紅「おい…今カチッっていったよな?」 黒萃香「………あ、アネさん…」 妹紅「いいか、そこを動くなよ。絶対動いちゃ駄目だぞ!」 黒萃香「…もう遅いってばよう」 妹紅「ばかっ!なんでお前たちはこう、いつも余計な事ばっかりするんだ…」 黒萃香「壁か天井か…それとも落とし穴か…ナムナムナム…」 妹紅「みんな、気を抜くなよっ!」 咲夜「ゴクリ…おかしいわね、何も起こらないじゃないの…」 妹紅「…不発、か?それとも…」 咲夜「逆に不気味ね…」 黒萃香「ナムナムナムナム…」 その時、妹紅達の頭上30mの地上では… 美鈴「さて、咲夜さんも居なくなったし妹様もくっ付いて行ったみたいだし…帰ろっか?」 小悪魔「そうですねえ、メイド長がお嬢様を連れてくるまで待ってるのも何ですし…あっ!!!」 美鈴「なんだー?大っきな声なんか出して??」 妹紅「と、とりあえず何も起こらないなら今のうちに避難だ!」 黒萃香「ナムナムナムナム…」 妹紅「他にも仕掛けがあるかもしれないから気をつけるんだぞ…」 黄萃香「了承…前言撤回!」 妹紅「え?ってー!!言ったそばから引っ掛かるなー!」 シーン… 咲夜「…今度も何も起こらない…といいんだけど……」 妹紅「…なあ、何か聞こえないか?」 咲夜「…これはまさか…」 ズゴゴゴゴゴゴ… 妹紅「や、ヤバイ…凄い揺れだ!」 咲夜「…洞窟が崩れて生き埋めとか!?そんなの御免よ!」 一方上では… 小悪魔「め、美鈴さんっ!しっかりしてください!!」 美鈴「な…一体何が…!?」 小悪魔「きゃっ…!!こ、今度は地震ですかっ!?」 妹紅「じ、地面が!割れるっ!!」 黒萃香「南無三っ!」 ぴょ〜ん 妹紅「…ふう…収まったか…」 咲夜「見て、落とし穴よ…さっきの揺れで起動したのね…」 妹紅「ゴクリ…危なかったんだな」 黒萃香「あ、アネさーん!」 妹紅「ん?なんだお前達、どうして向こう側に居るんだ?」 黒萃香「アッシの意思じゃねえよう!必死で逃げたら地面が割れたんだよう!」 妹紅「そうかそうか。よし、それじゃ飛び越えて来な!」 黒萃香「遠くて無理だってばよう!」 小悪魔「だ、大丈夫ですか…?」 美鈴「ア痛タタ…何故にタライが降って来るかな…」 小悪魔「まさかメイド長の仕業では…さっきのが聞こえてたとか…」 美鈴「はは、まっさかあ。それは無いって」 小悪魔「ですよねー」 美鈴「まったく今日は厄日だな…うをぁ!」 小悪魔「じ、地面が!」 美鈴「お!落ちるー!!」 小悪魔「えっ!?めーりんさーん!…あれは絶対飛べるのを忘れてるわね…」 美鈴「た、魂がー!重力に引かれるー!」 美鈴「あっ!あんなところに出っ張りが!!」 がっし! 美鈴「ふう…た、助かったぁ…」 黒萃香「お!さっきのネエさんじゃねえかよう!」 美鈴「なっ!お前は確か咲夜さん達と一緒に居たちっこいヤツ!」 黒萃香「何でここに来たのか知らねえがとにかく助かった!」 美鈴「助かったって、何を…」 黒萃香「それじゃあちょいと失礼〜」 黄萃香「同上」 美鈴「ちょっ!私を踏み台にしたっ!?」 |